違法業者の手口や摘発について
いわゆるヤミ金じゃないのかよ?
事例を踏まえつつ違法業者の手口を解説してゆこう。
ツケ払いと後払いアプリ現金化の違い
冒頭でもお伝えした通り「ツケ払い(後払い)」と「後払いアプリ現金化」はサービスの内容やスキームが大きく異なります。
ツケ払いとは、簡単に言うと
- 商品をツケで購入し、当該商品の買取又はキャッシュバックによって現金を得る
- 後日購入した商品の代金を支払う
という流れで現金を調達するというものです。
ツケ払い業者の多くは「信用」によって取引しており、クレジットカードはもちろん、後払いアプリやキャリア決済、バーチャルカード等を持っていなくても利用が可能でした。
例えば、
- 5万円の商品をツケ払い(後払い)で購入
- すぐに4万円で買い取ってもらう(買取代金を振込)
- 後日、商品代金5万円を支払う
などの取引が一般的で、買取金額は3万円だったり3万5千円だったりとまちまちです。
仮に1か月後に支払ったとして、1か月で1万円の金利は1日当たり333円の金利となり、年利換算すると121,545円(333円×365日)で5万円の243%にも及びます。
同スキームのサービスを提供していた業者(所謂「ツケ払い業者(後払い業者)」)は2021年頃から続々と摘発され、2023年現在では表立った活動は見られなくなりました。
給料は原則として第三者に譲渡することができないという理由から、まずは行政から違法判断がなされ、その後司法(裁判)でも違法という認定がなされた。
ただし、判旨は「給料ファクタリングは実質的な金銭消費貸借契約」という内容だったので、貸金業登録をしていれば違法ではないという点に注意が必要だ。
現段階では貸金業を取得して給料ファクタリングサービスを運営する業者は見当たらないので、いずれにしても「給料ファクタリング=違法」という認識で良いだろう。
後払いアプリ現金化には商品の授受
後払いアプリを利用した現金化の流れ・スキームについてはこちらの記事(後払いアプリ現金化の手順)で詳しく解説しておりますので割愛しますが、両者が最も異なる点はやはり「商品の授受(受け渡し)」の有無でしょう。
前述した「ツケ払い」については商品の授受がなく、言わば実態が伴わない架空の売買契約です。
「クレジットカード現金化(クレジットカードのショッピング枠を利用した方法)」の摘発も時折目にしますが、商品の授受が無かったという点で共通しており、実質的な金銭消費貸借契約であったと判断されるには商品の授受が大きなカギを握るようです。
なお、この論法に照らし合わせると、後払いアプリ現金化でも商品の授受が伴わない場合は実質的には金銭消費貸借契約であると判断される可能性が高く、延いては違法の恐れがあると言えます。
実際に使われた商品
なお、ツケ払いでは「情報商材」が主に使用されていました。
具体的には
- 情報商材を後日支払いで購入
- 商品に関するレビューを投稿
- 金額に応じたキャッシュバック
という流れです。
情報商材という商品は存在しているものの、金額に応じてキャッシュバック率が変わる・実物が無いなどの点で違法という判断がなされました。
その他、ツケ払い業者の多くが運転免許証を持った自撮り写真、勤務先等の提供を利用条件としており、過度な取立てを実施していた点も摘発に至った理由の一つと言えます。
あくまでも中古品の売買のため、商品の受け渡しがないのは絶対にNGだ。
一時期「キャッシュバック方式」と呼ばれる手法が流行したが、現在では既存の「買取方式(商品を実際に送る方法)」が一般的なようだぜ。
後払いアプリ現金化でも商品が送られてこない場合は違法業者の可能性があるので注意が必要だ!
実際の摘発事例
ツケ払い業者・違法な後払い現金化業者は、短期間だけ運営をして閉鎖又は倒産し、また新たなサービスを開始するという流れを繰り返していました。
近年の摘発事例は以下の通りです。
無登録で貸金業を行ったとして、県警生活経済課と浦和署の合同捜査班は11日、貸金業法違反と出資法違反の疑いで、東京都板橋区成増1丁目、会社員の男(37)、同練馬区桜台4丁目、会社員の男(29)、同新宿区戸山1丁目、不動産仲介業の男(42)ら男4人を逮捕・再逮捕した。逮捕・再逮捕容疑は、共謀し、2020年12月ごろ~昨年8月ごろまでの間、無許可で29回にわたり県内の男性ら5人に対し、情報商材を販売して商材の評価投稿に対する報酬を支払ったかのように仮装して現金計40万6千円を貸し付け、1日当たり0・3%を超える利息相当額計46万4千円を受領し、貸金業を営んだ疑い。(2022年7月12日記事より)
引用元:埼玉新聞
手口を変えてヤミ金業を営んでいたということだろう。
スマートフォンなどの買い取りを装って違法な高利貸をしたとして、茨城県警は、東京都内の自称会社役員ら11人を貸金業法違反(無登録営業)と出資法違反(超高金利の受領など)の容疑で逮捕し、17日に発表した。(中略)11人の逮捕容疑は、2021年11月~22年6月、貸金業の登録をせずに、茨城県内在住の男性(44)ら11人に対し、法定金利の31~140倍で金を貸し付け、約71万円を不当な利息として受け取ったというもの。(2023年1月17日記事より)
引用元:朝日新聞
違法業者を見極めるには
違法業者が自ら「ツケ払い(後払い)商法」「給料ファクタリング」などとは名乗りません。
誤って利用してしまわないためにも、利用者自身も優良業者なのか違法業者なのかをしっかりと見定める必要があります。
もし以下に当てはまるようであれば違法業者の可能性があるのでご注意ください。
「直接取引」「ジャンプ」の提案
後払いアプリ現金化では「後払いアプリで商品を購入する」ため、買取金が振り込まれた後に業者とやり取りをすることはありません。
そのため
- アプリを通さないでも後払いできる
- 支払いをジャンプできる
などの誘い文句があった場合は要注意です。
当該業者は後払いアプリの現金化サービスを謳ったヤミ金業者かもしれませんので、甘い言葉に騙されないようにしてください。
勤務先や実家の情報まで確認される
後払いアプリ現金化サービスを利用するには「カード情報」「身分証明書」の情報を提供する必要があり、中には自撮り(セルフィーID)が求められる場合もあります。
これらを超えた要求は取立てを視野に入れた情報提供の可能性があり、例えば
- 勤務先
- 年収
- 実家の住所
- 申込者以外の連絡先
などの提供を求められた場合は注意しましょう。
他業者の「紹介」をされた
所謂「紹介屋」と呼ばれる手口で、後払いアプリの現金化を謳いつつ違法な業者(ヤミ金業者や個人間融資など)を紹介されます。
- 「希望金額に届かせるには~」
- 「当サービスでは○○円になりますが、別サービスなら~」
などが定番ですので、これらの謳い文句が出てきたら注意してください。
利用は絶対にNG
ヤミ金業者は、時には職場や実家などにまで取り立てに訪れる・自宅にいたずら(デリバリーや救急車を呼ぶなど)をするなど、あの手この手で利用者を追い詰めます。
また、はじめは数万円だった借金が気づいたら数十万円ないしは数百万円に膨れ上がっていた…んてことも決して珍しくはありません。
ヤミ金業者の利用は絶対に避けるとともに、間違って利用してしまわないように細心の注意を払うようにしてください。
もちろん後払いアプリ現金化をご利用の際も、しっかりと支払い計画を立てるなど、無理のない利用を心がけるようにしましょう。
どれも絶対に利用しちゃダメだぞ!
合法のサービスを装い、ヤミ金に誘導するという手口もあるので、危ないと感じたらすぐに取引を中止し、当該業者とは一切の連絡を断つようにしよう。